職業訓練には「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の二つの訓練制度が存在しますが、この二つの違いを理解していない人が多いので、今回はその違いを比較しながら解説していきます。
公共職業訓練と求職者支援訓練の違い
実施団体の違い
公共職業訓練
主に公共職業訓練校や委託された訓練機関
求職者支援訓練
主に民間企業(スクール)やNPO法人など
対象者の違い
公共職業訓練
主に雇用保険の受給資格者を対象。
求職者支援訓練
主に雇用保険の受給資格者では無い人を対象。
訓練費用の違い
公共職業訓練
離職者訓練に関しては基本的に無料ですが、在職者訓練に関しては数千円の受講料、学卒者訓練に関しては入学金と受講料合わせて20~50万円程かかります。
(各コースにより異なる)
求職者支援訓練
無料
※どちらの訓練でも、テキスト代や作業着代などは自己負担となります
給付金の違い
公共職業訓練
訓練に通っている間、雇用保険の失業手当が延長して支給される。
更に受講手当や通所手当(交通費)なども支給される
求職者支援訓練
訓練に通っている間、月額10万円の受講給付金と交通費(交通費)が支給される
※どちらの訓練でも給付条件を満たす必要があります
訓練期間の違い
公共職業訓練
概ね3ヶ月~1年です。(2日程度の短期訓練も有り)
求職者支援訓練
概ね3ヶ月~半年です。(1ヶ月程度の短期訓練も有り)
入学試験の違い
公共職業訓練
筆記試験(国語と数学)と面接試験がメインになりますが、短期間コースであれば書類選考のみの場合もあります。
求職者支援訓練
面接試験がメインになりますが、実践コースであれば筆記テストが実施されることもあります。
※入学試験に関しては、各コースによって試験内容(難易度)が異なります
訓練内容の違い
公共職業訓練
国が実施している機械加工や電気工事などのモノ作りに関する訓練の他にも、各度道府県が独自に実施しているパソコンスキルなどの事務職に対応した訓練や経理や介護など多岐に渡ります。
求職者支援訓練
基礎コースと実践コースに分かれており、基礎コースではオフィスで初めて働く方を対象にWordやExcelなどのオフィスソフトの基本的な操作方法を学ぶコースが多いです。
一方、実践コースでは、販売職や介護職や保育職など、より実務で使える専門的なスキルの習得を目指します。
両者を比較して・・・
ズラズラっと書いて分かりにくいかもしれませんが、公共職業訓練にしても求職者支援訓練にしてもどちらも職業訓練なのには変わりないので、職業訓練の定義である「就職希望者に向けて仕事をする上で必要なスキルを提供してくれる制度」なのは同じです。
受講内容もコースは違えど、カリキュラム(質)に関してはどちらも似たようなものなのでそれほど気にする必要はありません。
両者を比較して大きく違う点は、「対象者」と「恩恵(給付金)」です。
公共職業訓練は雇用保険の受給資格者を対象にしているので範囲が狭い分、恩恵(給付金)が大きいので、対象者に該当する方は、まずは気になる公共職業訓練を探してください。
(給付条件も満たす必要があります)