基本手当の給付日数がまだ残っている状態で、新しい転職先を見つけて働き出すと「失業の状態」とは認められなくなりますので、基本手当の給付はストップします。
それは当たり前のことなので今更言うことでもありませんが、では転職先をすぐに退職してしまった場合の失業保険の考え方はどうなるのでしょう?
それではいくつかのパターンで解説していきます。
転職先で失業保険の受給資格を得た場合
原則として、転職先で退職前2年間で継続して1年以上雇用保険に加入していれば失業保険の受給資格を得ることができます。
退職した会社で失業保険の受給資格を得た場合は、一から基本手当を受給してもらうことが可能なので、前に給付してもらっていた基本手当に関しては、給付日数が残っていたとしても全てリセットされます。
考え方としては分かりやすいですね。
転職先で失業保険の受給資格を得られなかった場合
転職後すぐに退職した人を対象にした記事になるので、この記事を参考しているほとんどの人は、転職先の会社で失業保険の受給資格を得る前に退職していることでしょう。
その場合は、前の失業手当を引き継ぐ形になりますが少々ややこしくなります。
パターン①:前の前の会社を退職後1年以上経過している場合
失業保険の受給資格を得たときに働いていた会社を退職してから1年以上経過している場合は、受給期限が既に終わっているので、どれだけ基本手当の給付日数が残っていたとしても全て消滅します。
病気などの理由で基本手当の受給期間を延長している場合は除きます
パターン②:前の前の会社を退職後1年以上経過していない場合
その場合は、ハローワークに行って前と同じように求職者申込みをして失業の状態と認められれば、残っている分の基本手当を給付してもらうことが可能です。
但し、先ほども言いましたが、給付期間は失業保険の受給資格を得たときに働いていた会社を退職してから1年間なので、基本手当の給付日数がいくら残っていようとも、1年が経過すればそこで給付はストップします。
また、転職した際に再就職手当や就業手当などの職業促進手当を受取っている場合は、その支給日数分の給付日数がカットされます。
厳密には、再就職手当で支給された金額から基本手当日額を割った日数分カットされます。
分かりにくいので例を挙げてみます。
基本手当日額が4,000円、所定給付日数が90日で40日分の基本手当を支給してもらった場合、残りの50日の50%が再就職手当として支給されます。
4,000円×50日×0.5=10万円
すぐに辞めた会社に再就職したときに、10万円の再就職手当が支給されていることになります。
基本手当日額が4,000円なので、再就職手当の10万円を基本手当の日数に置き換えると、
10万円/4,000円=25日となります。
50日分の再就職手当を支給してもらっていますが、実際には25日分だけになるので、所定給付日数の90日から基本手当を受取った40日と再就職手当分の25を引いた、
90-40-25=25日分の基本手当を新たに受取ることができます。