定年などで退職した後の健康保険は、後期高齢者医療制度が適用される75歳までは国民健康保険に加入するのが一般的です。
更に退職するまで勤めていた会社が「特例退職被保険者制度」を適用していれば、特例退職被保険者になることも可能です。
特例退職被保険者制度とは?
特例退職被保険者制度とは、厚生労働大臣の認可を受けて設立されている健康保険組合が運営している退職者医療制度になります。
全国に61組合(2014年4月現在)存在しますが、加入条件が「従業員が700名以上または同じ業種(一定地域)の会社が集まって3,000名以上」になるので、基本的には大企業しか適用されません。
大企業だからと言って加入しているとは限りません。
特例退職被保険者の加入条件
- 会社が特例退職被保険者制度を実施している
- 日本国内に住民登録している
- 老齢厚生年金を受け取ることができる
- 加入期間が20年以上(40歳以降は10年以上)
- 退職後に国民健康保険に加入していない
保険料は?
特例退職被保険者の保険料は健康保険で定められた「標準報酬月額」を基に算出されます。
在職中の保険料は会社が半分負担してくれていましたが、特例退職被保険者の保険料は全額自己負担になります。
但し、任意継続保険の様に単純に2倍ぐらいの保険料になる訳では無く、特例退職被保険者の保険料は加入していた組合の全加入者の標準報酬月額を平均した額の1/2以下に設定されるので、任意継続保険に比べるとかなり安くなります。
特例退職被保険者のメリットは?
皆さんが一番気になる所でしょう。
ここでは、国民健康保険と比較して特例退職被保険者のメリットについて考えていきます。
1.高額な医療費負担が軽減される
特例退職被保険者は、一定の医療費負担を超えると付加給付されるので医療費がどれだけ高額になっても本人負担額を一定額に抑えることができます。
2.現役時代とほぼ同じサービスを受けられる
スポーツ施設やリゾート施設の割引制度や人間ドッグの受診など、会社に勤めていた時の福利厚生をほぼそのまま引き継ぐことができます。
3.保険料を抑えることができる
恐らく一番のメリットと言っても良いでしょう。
先ほども言いましたが、特例退職被保険者の保険料は、組合の全加入者の標準報酬月額を平均した額の1/2以下に設定されるので、前年の所得を基に算出される国民健康保険に比べて安くなる傾向にあります。
また、国民健康保険は扶養者の分の保険料も支払わなければいけませんが、特例退職被保険者は扶養者の保険料は払わなくても良いので負担は軽減されます。(会社の健康保険と同じ考え)
但し、会社を辞めた後に仕事をせずに所得がゼロの場合は、数年後のことを考えると国民健康保険の方が安くなることも有り得るので、一概に特例退職被保険者の保険料の方が安くなるとは言い切れません。
特例退職被保険者になると途中で脱退できない
特例退職被保険者制度の厄介な点は、一度加入すると後期高齢者医療制度が適用される75歳になるまでは脱退できないという所です。
ですので、特例退職被保険者になったけど国民健康保険の方が保険料が安くなるので変更したいと言っても国民健康保険に加入することは出来ませんので、特例退職被保険者に加入する際はどちらが良いのかよく考えてから加入するようにして下さい。
再就職して会社の健康保険に加入する場合は脱退することができます