会社を退職して次の再就職先を探すまでは国民健康保険に加入するの一般的ですが、条件を満たすことで勤めていた会社の健康保険を引き継続き加入することも可能です。
会社を退職した後に任意継続保険か国民健康保険どちらに加入するのかの判断は保険料がメインになります。
大まかな考え方は「任意継続保険と国民健康保険とではどっちが得?」を参照してもらうとして、ここでは任意継続保険の保険料の考え方について解説していきます。
基本的には在職時の2倍
会社を退職することによりこれまで会社が折半していた保険料の負担が無くなりますので、基本的には在職時の保険料の2倍と考えて頂いて結構です。
但し、任意継続保険には上限額が設定されているので、場合によっては単純に倍になるとは限りません。
では、具体的にどうやって計算していくのかを解説していきます。
1.報酬月額を算出
報酬月額の考え方
報酬月額は在職中の会社で支払われていた月収を基に算出されますが、月収って毎月違う人がほとんどなので、どの時期の月収が対象になるのかをまずは決めなくてはいけません。
標準報酬月額が決定するタイミングはパターンにより3つに分類されます。
1.資格取得時の決定
あなたがその会社に入社したときの労働契約などを基にして決定します。
入社してから初めに迎える8月までここで決められた報酬月額を使います。
2.定時決定
資格取得時の決定が過ぎた後は、その年の3月・4月・5月に支払われた報酬月額の総額をその期間の月数で割った額で算出されます。
ここで算出された報酬月額はその年の9月から翌年の8月まで使用します。
ほとんどの人が定時決定によって報酬月額が決定すると思っていただいて結構です。
3.臨時改定
昇給や降給などが原因で大幅に給料が変わった場合に事業主からの届出によって改定されます。
ちなみに、残業代などの非固定的賃金は含みませんので、今月は頑張って50時間残業して給料が一時的にアップしたとしても臨時改定の対象にはなりません。
あくまで基本給などの固定的賃金のみです。
報酬月額に含むもの
- 基本給
- 残業代
- 交通費
- 役職手当
- 営業手当
など・・・(賞与や退職金は含みません)
2.標準報酬月額を算出
報酬月額について解説してきましたが、要は毎月貰っている月収とほぼ同じと考えて頂いて結構です。
報酬月額が分かれば、保険料の基となる「標準報酬月額」を算出します。
この標準報酬月額は報酬月額を1~47等級に区分した額になります。
例えば、報酬月額が21万円の場合は東京都では14等級になるので標準報酬月額は22万円になります。
それぞれの報酬月額に対しての標準報酬月額は各都道府県で異なります。詳しくは全国健康保険協会のホームページを見て確認して下さい。
3.保険料を算出
標準報酬月額に保険料率をかけることにより、任意継続保険の保険料を算出することができます。
保険料率は各都道府県によって異なりますので、詳しくは全国健康保険協会のホームページを見て下さい。
例えば平成27年度の東京の保険料率は9.97%(介護保険第2号被保険者は11.55%)です。
どの都道府県でも10%前後です。
ちなみに介護保険第2号被保険者とは40歳~64歳までの人を対象にしています。
標準報酬月額には上限がある
標準報酬月額は28万円が上限なっているので(平成27年4月現在)、東京都であれば報酬月額が27万円以上であればあとはどれだけ稼いでいても保険料は一律です。
国民健康保険に比べると保険料の上限値が低いので、これが任意継続保険を選択するメリットと言えるでしょう。
例を挙げてみよう!
一通り説明したので例を挙げて考えてみましょう。
1.遊び盛りの若者
【東京都在住22歳、報酬月額:17万円】
- 標準報酬月額は17万円
- 保険料率は9.97%
任意継続保険の月々の保険料は16,949円になります。
2.結婚を夢見るOL
【大阪府在住31歳、報酬月額:23万円】
- 標準報酬月額は24万円
- 保険料率は10.04%
任意継続保険の月々の保険料は24,096円になります。
3.冴えない中年男性
【福岡県在住48歳、報酬月額:34万円】
- 標準報酬月額は34万円
- 保険料率は11,67%
任意継続保険の月々の保険料は32,676円になります。
ちなみに③の場合、本来であれば標準報酬月額は34万円なので39,678円になりますが、28万円の上限を超えているので32,676円を超えることはありません。
月収に比べるとかなり安くなりますね。
保険料はずっと一緒
国民健康保険は前年の所得を基に計算されるので保険料は毎年変更になりますが、任意継続保険は一律同じ保険料になります。
高く感じる人がほとんど
冒頭でも言いましたが、会社に勤めていた時は会社が折半してくれていたので負担は半分でしたが、任意継続保険は一人で全て負担しなければいけませんのでかなり割高に感じる人がほとんどだと思います。
- 任意継続保険料は基本的に在職時の2倍
- 任意継続保険料は前職の収入を基に計算
- 任意継続保険料の上限は国保に比べると低い
- 任意継続保険料はずっと同じ保険料